消費者庁への「偽物はちみつ」に関する情報提供について

本日、(一社)全国はちみつ公正取引協議会は、非会員14社の中国産の安価な輸入瓶詰はちみつ製品に「偽物はちみつ」の疑いがあるとして消費者庁に情報提供を行いました。

当協議会は、かねてから「偽物はちみつ」を市場から排除するために検査方法の開発に取り組み、昨年、新たに開発された「外来アミラーゼ検査法」及び「ジアスターゼ活性値」【注1】の検査の実施を会員だけでなく、非会員にも推奨いたしました。

今般、非会員の中国産の安価な輸入瓶詰はちみつ製品について、「外来アミラーゼ検査法」、ジアスターゼ活性値検査及びシロップ添加マーカーの「マンノース」【注2】の検査を実施したところ、ほとんどの製品で「外来アミラーゼ」は検出されませんでしたが、はちみつであればミツバチ由来のアミラーゼにより一定量以上の数値となる「ジアスターゼ活性値」が不検出であり、また、「マンノース」が一定量以上検出されたことから、米などから作られたシロップが混入された「偽物はちみつ」の疑いがあることが判明しました。

また、「外来アミラーゼ」が検出された製品については、そのこと自体で「はちみつ」に該当しないことになりますし、また、シロップマーカーの「マンノース」も一定量以上検出されています。

このため、これらの検査結果に基づいて、非会員の中国産の輸入瓶詰はちみつ製品が事実に反して「はちみつ」と消費者を誤認させる表示を容器包装等に表示している疑いがあることに対して、不当景品類及び不当表示防止法並びに食品表示法に違反する疑いがあると思料して消費者庁に情報提供いたしました。

「外来アミラーゼ検査法」を推奨した結果、「外来アミラーゼ」による偽装が行われなくなり、シロップ添加で低下した「ジアスターゼ活性値」の真実の数値が見えるようになりました。会員及び賛助会員の皆様におかれましては、上記の偽物蜂蜜の状況に鑑み、原料蜜の仕入れ時に「外来アミラーゼ」、「ジアスターゼ活性値」又は「マンノース」の検査を実施して、引き続き「真正」なはちみつであることを確認していただきますようお願いいたします。

  • はちみつには元来ミツバチ由来のアミラーゼが含まれ、これを「ジアスターゼ活性値」として評価し、数値限度を決めて品質の評価として利用している国や地域があり、コーデックス(国際的な食品規格)やEUでは8以上、中国の業界標準では4以上と定められています。しかし、はちみつにシロップを混入する偽和において、低下するジアスターゼ活性値を偽装するために微生物由来のアミラーゼ(以下「外来アミラーゼ」という)の添加を行って、品質評価を回避しようとする実態があります。「外来アミラーゼ検査法」(Native-PAGE法)は、シロップ混入で低下するジアスターゼ活性値を偽装するために添加される外来アミラーゼの添加の可能性を電気泳動解析法により簡便にモニタリングする方法です。
  •  「マンノース」は、単糖類の一つであり、米などからシロップを製造する精製工程においてグルコースが樹脂製のフィルターなどと反応して生成されますので、米などから作られるシロップが添加されていることを示すマーカーとして評価されています。中国産の一般的な花蜜由来の真正なはちみつからは検出されないとする論文が公表されており、また、EUの検査機関(インターテックス社)でも花蜜由来の真正なはちみつにおける妥当値は400mg/kg(0.04g/100g)未満としています。

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「消費者庁への『偽物はちみつ』に関する情報提供について」
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