組成基準の検査とは何の目的で行うのですか?
答 はちみつ本来の組成を持っている本物のはちみつであることを確認するために検査を行っています。組成基準のそれぞれを検査する目的は、次表のとおりです。
検査項目 | 検査目的 |
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水分 輸入20%以下 国産22%以下 | はちみつが長期間腐らないのは、糖度が約8割と高く、水分活性値が低い(0.8~0.5)、弱酸性(PH3.2~4.9前後)という性質があるためです(数値はHACCPの手引書から引用)。 はちみつ中の水分が多い場合には、上記のはちみつの性質が変化して発酵、発泡などの変質を招きやすくなりますので、はちみつには不可欠な検査項目です。 なお、水分割合の基準が輸入品よりも国産品が高いことについては、降雨量が多い日本の気候から花蜜の水分量が多いことが理由として考えられています。ただ、当協議会が毎年実施している定期検査の結果では、検査対象の国産品のすべてが水分含有割合20%以下となっています。 |
果糖及びブドウ糖含有量の合計 ・はちみつ 60g/100g以上 ・甘露はちみつ又は甘露はちみつとはちみつの混合物 45g/100g以上 | 果糖及びブドウ糖は、はちみつの主成分であり、この値が極度に低いと他の糖の混入が疑われます。 ただし、甘露はちみつでは、果糖及びブドウ糖以外の糖も多いことから、はちみつに比べて低い基準値となっています |
しょ糖 5g/100g以下 ただし、次に掲げる採蜜源のはちみつにあっては、それぞれ定める基準によるものとする(以下の括弧内は学術名である。)。 (a) アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ)、柑橘類、ニセアカシア(ハリエンジュ属ニセアカシア)、フレンチハニーサックル(すいかずら)、ヤマモガシ、レッドガム(ユーカリ・カマルドレンシス)、レザーウッド(ユークリフィア・リキダ)、エウクリフィア科ミリガニ 10g/100g以下 (b) ラベンダー(ラベンダー類)、ボリジ(むらさき科ボラゴ属) 15g/100g以下 (CODEXに倣った蜜源別の例外規定を導入) | 花蜜にはショ糖が20~30%含まれますが、ミツバチの酵素によりはちみつ中で果糖とブドウ糖に分解されますので、はちみつの熟成度を示す指標になります。 また、ショ糖が基準値よりも多い場合には砂糖の混入が疑われます。 |
電気伝導度 ・はちみつ 0.8ms/Cm (ミリジーメンス毎センチメートル)以下 ただし、甘露はちみつ又は甘露はちみつとはちみつとの混合物の場合にあっては、0.8mS/cm以上とし、次に掲げる採蜜源のはちみつは電気伝導度の組成基準の適用除外とする。 <適用除外対象> ストロベリーツリー(イチゴノキ)、ベルヒース(エリカ)、ユーカリ、菩提樹(シナノキ)、リングヘザー(カルーナ) 、マヌカ、ティーツリー(メラレウカ)、クリ (CODEXに倣った蜜源別の適用除外規定を導入) | はちみつ中の灰分(ミネラル)の量を示す指標になります(溶液中の無機成分のイオンが存在すると電気伝導度が大きくなります。)。 甘露はちみつは、ミネラル分が多いことから、電気伝導度の基準値がはちみつに比べて高い値となっています。 |
H.M.F(ヒドロキシメチルフルフラール) 5.9mg/100g以下 ただし、熱帯地域(南回帰線と北回帰線に挟まれた地域)若しくは熱帯地域と似た気候の地域を原料原産地とするはちみつ又はこれらのブレンドの場合は、8.0mg/100g以下とする。 (CODEXに倣って熱帯地域の例外規定を導入) | 糖類に熱が加わると生成する物質であり、濾過前の溶解工程での加熱、貯蔵中の保存温度に影響されるため、加熱経歴を示す指標になります。 |
遊離酸度 100gにつき1Nアルカリ5ml以下 (5meq/100g) | グルコン酸をはじめ各種の有機酸が含まれているところ、遊離酸度は、発酵が進行して酸成分が多くなっていることを示しています。 |
でん粉デキストリン 陰 性 | 水飴、糖化度の低い異性化液糖などの高分子糖が含まれていると陽性になることから、偽和物が混入しているか否かの指標の一つになります。日本薬局方で定めた方法です。 |